からくりサーカス

作者 藤田和日郎
巻数 43巻(完結)
掲載誌 週刊少年サンデー
出版社 小学館
点数 90点
あらすじ

悲しんでいる人の近くにいると、呼吸困難になってしまう奇病「ゾナハ病」。その病気に罹った加藤鳴海は、ピエロのアルバイト中、才賀勝という少年と出会う。

少年は、世界的大企業「才賀」の後継者であり、その命を狙われていた。狙っているのは、「人形」。

あまりに、不可思議な事情ながら、悲しげな勝を見て、勝を笑わせたいと思った鳴海は、勝の用心棒となることを決める。

しかし、勝には、祖父の依頼により「しろがね」と呼ばれる巨大な操り人形を持つ、美しい少女が護衛としてついていた・・・

「ゾナハ病」「しろがね」「才賀」「人形」巨大なうねりが3人を、世界を混乱の渦に巻き込んでいく。

評価

「うしおととら」で有名な藤田和日郎先生の長編第2作。

藤田先生といえば、物語の伏線の張り方、回収の仕方の名手です。この作品においても、43巻という長期連載の中で 広げに広げた風呂敷を見事に畳んでくれます。物語の中で、あちこちに張り巡らされた伏線や謎がラストに向けて疾走するように回収されていく様は、まさに感動物です。

ジャンルは、一応冒険譚。ということになるのでしょうか。しかし、到底一つのジャンルではくくれない程の作品内容の豊富さ、濃密さは、それだけで面白い。

また、迫力ある絵、構図も見物です。描き込み量が凄まじく、週刊連載の域を完全に逸脱しています。全体的に濃い絵柄ですが、男は格好良く、女の子は可愛く描かれていますので、 濃いのが苦手な方でも、あまり抵抗無く読めると思います。しかし、それでも駄目と言う方・・・頑張れ。絵でこんなに面白い作品を見逃してしまうのは、もったいない。読んでる内に慣れます。

キャラクターも良い味出してます。魅力的なキャラクターは沢山いるのですが、個人的には、ジョージというキャラにやられました。 最初は、ほんっとに単なるかませ犬だったんですが、終盤の彼の活躍には・・・涙が止まりませんでした。

鳴海と勝という二人の主人公が、それぞれ対極的なキャラクターで始まるところも、物語への感情移入をしやすくさせてくれています。とにかく、泣きます!燃えます!! この作品を読んでないなんて、本当にもったいない。

さて、ほとんどネタばれ無しで、もう「内容がまったくワカンネーヨ」というあなた。 理由があるんです。ホントは色々書きたいんです。熱く語りたいんです。でもね、先ほども書きましたが、藤田先生の作品は、謎や伏線がラスト向けて綺麗に回収される快感が凄まじいのですよ。 ここであんまり語ってしまうと、それだけ皆さんから楽しみを奪ってしまうことになるのです。とにかく、読んでみることをオススメします。出来れば一気に。